Chalcedony Pseudomorph after Baryte
Locality: McDermitt Mine, Opalite District, Humboldt County, Nevada, USA
Size: 87mm x 70mm x 25mm
Weight: 131g
商品説明:
渦巻く花弁の様に密集したバライトが、カルセドニー化して美しく鮮やかに彩られた、60〜70年代のネバダ産の名標本です。葉の先から無数の微細な鍾乳状結晶が林立する姿は圧巻で、表情豊かなミクロの絶景にひたすら感動させられます。
各鉱物の特徴:
<玉髄 (カルセドニー/Chalcedony) - SiO2 / Trigonal - >
微細な石英の緻密な集合体で、我が国でも鍾乳状や仏頭状、花弁状、そろばん玉型など豊富なバラエティで産出します。青玉髄(Blue Chalcedony)の着色は、微量の鉄イオンによるもので、赤色系統のカーネリアン(Carnelian)、鮮緑色のクリソプレーズ(Chrysoprase)の他、縞模様が顕著なものは瑪瑙(Agate)、着色が濃く不透明なものは碧玉(Jasper)と呼ばれます。
<重晶石 (バライト/Barite/Baryte) - BaSO4 / Orthorhombic - >
無色〜白色、黄色、褐色、淡青色、淡緑色等の豊富な色調を伴い、斜方板状や柱状、塊状、繊維状等で中低温の熱水鉱脈や石灰岩中等に産出します。地下水の蒸発により砂中に生成される花弁状の重晶石は、石膏(Gypsum)によるものと同様、砂漠の薔薇(Desert Rose/Sand Rose)の名で親しまれています。また類質同像の硫酸鉛鉱(Anglesite)や天青石(Celestine)とは固溶体の関係にあり、ラジウムにより放射性をもった含鉛重晶石(北投石)もかつて注目を集めました。
<仮晶 (スードモーフ/Pseudomorph)>
仮晶(Pseudomorphoses)という用語は、1801年に結晶学の父と呼ばれるフランスの鉱物学者René Just Haüyによって最初に提唱されました。一般的に仮晶とは、元の鉱物の外形を保ったまま、結晶が化学的または構造的に変化し、他の鉱物へと一部や全体が置き換わったものを指します。具体的にどこまで仮晶に含めるのか、またその分類法については、学者間でも見解が分かれるため、未だに明確な定義が確立されていません。一鉱物標本店としては、過去の研究を参考に、大まかに下記の5種に分類します。
�� Paramorph (Allomorph)
同質異像(Polymorphism)の性質を伴う多形(Polymorph)鉱物による多形仮晶(Paramorph/Allomorph)です。低温水晶(alpha quartz)と高温水晶(beta quartz)に代表されるエナンチオトロピーな相転移を示すEnantiotropic種と、石墨(Graphite)とダイアモンド(Diamond)や水晶(Quartz)とコーサイト(Coesite)、鱗珪石(Tridymite)等に代表される非可逆的なモノトロピー(単変)のMonotropic種に大別できます。多形が2種の結晶形を取るならばDimorph、(TiO2)の多形である金紅石(Rutile)、鋭錐石(Anatase), 板チタン石(Brookite)や、(Al2SiO5)の藍晶石(Kyanite)、珪線石(Sillimanite), 紅柱石(Andalusite)等、3つならばTrimorphと呼ばれます。
�� Metamict
メタミクト鉱物は、内包または近接するウランやトリウムによるアルファ粒子という放射線によって、結晶構造が損傷を受け非晶質化させられたものです。メタミクト化されると屈折率や比重、硬度といった様々な特性が低下します。ジルコン(Zircon)や、サマルスキー石(Samarskite)、フェルグソン石(Fergusonite)、ユークセン石(Euxenite)等がこれに該当します。
�� Exsolution (Entmischung-Pseudomorphosen)
離溶や固溶体分離とも呼ばれる現象で、高温下で生成された固溶体鉱物が、ゆっくりと冷却されることで他の鉱物に分離したものです。チタン鉄鉱(Ilmenite)が金紅石(Rutile)と磁鉄鉱(Magnetite)や赤鉄鉱(Hematite)に分離した標本が有名です。
�� Alteration
成分の獲得や喪失、交換といった化学反応により、鉱物が部分的または完全に置き換わったものです。分類法の見解が多岐にわたることもあり、SubstitutionやInfiltration、Replacement、Alteration等の呼称と定義が混同し煩雑化しているようです。成因によって、a. 成分の喪失(e.g., Copper after Cuprite or Azurite)、b. 成分の獲得(e.g., Malachite after Cuprite、Gypsum after Pyromorphite)、c. 部分的置換(e.g., Goethite after Pyrite, Galena after Pyromorphite)、d. 完全置換(e.g., Quartz after Calcit, Barite, or Fluorite)と大別されます。
�� Encrustation (Perimorph/ Epimorph)
他の鉱物に覆われた鉱物が、後に消失したことによって生成された仮晶です。そのうちPerimorph(Epimorph)は空洞の殻が元の鉱物の輪郭の形で残ったもので、Encrustation PseudomorphやUmhüllungspseudomorphosenとも呼ばれます。また、このプロセスを鋳造に見立てて、残った鋳型の部分をMold、その中に侵入して生成された鋳物に該当する鉱物をCastと呼ぶこともあります。ポリへドロイド(Polyhedroid)は、長石(Feldspar)や方解石(Calcite)の仮晶と考えられてきましたが、実際はランダムな角度で交差する方解石の薄板の隙間を埋めたシリカであり、Castに分類されます。さすがに抵抗がありますが、スイスの鉱物学者は、鉱物の表面に残された、消失した他の鉱物の痕跡のことを、ドイツ語で傷を意味するNarbenという用語で呼ぶ慣習があり、これを当カテゴリーの仮晶に分類する説もあります。
鉱物標本上に限らず、広義の仮晶は目立たない形であまねく存在していますが、一般に鉱物標本店では、��Alterationと��Encrustationを中心に仮晶鉱物として取り扱う傾向があるようです。
▲▼ 母岩表面に密生するバライトがカルセドニーに置き換わり、鉄分で色彩豊かに染め上げられています。
▲▼ 側面に無造作に描かれた朱色のラインが味わいたっぷりです。
▲▼ 以下横置きで四方向からの画像です。なだらかな抑揚が表情に奥深さと豊かさを与えています。
▲▼ 渦巻く花弁の先端から、氷柱の様に微細な突起が無数に突き上げています。
▲▼ 赤、白、茶色と豊かに彩られた花弁が、温かな紅葉の様に波打っています。
▲▼ カメラでは伝え切れませんが、鳥肌の立つ様な絶景です。以下縦置きにして真上側からのアングルです。
▲▼ 光の陰影によって立体感と緻密な曲線模様が浮き彫りになります。
▲▼ 美しさと魅力の詰まった貴重な往年の充実標本です。