商品説明：
　粉砕後に再結合したと思われる母岩上に、可愛らしいイエローフローライトが清楚に輝く、スペイン産のダイナミックな標本です。カルサイトやバライトの微細な結晶も、標本全体を這うようにデコレートしています。

各鉱物の特徴：
＜蛍石 (フローライト/Fluorite) - CaF₂ / Isometric - ＞
　フッ化カルシウムを主成分とするハロゲン化鉱物で、立方体や八面体、十二面体などに結晶し、花崗岩や熱水鉱脈に石英や方解石、電気石、雲母等を伴って産出します。純粋な蛍石は無色透明ですが、希土類元素の含有により通常は緑や紫、黄色、ピンク色などをしています。微量に取り込まれたイットリウム、イッテルビウム、有機物などにより、紫外線を照射すると蛍光するものもあります。美しい累帯構造が見られることでも人気です。

＜重晶石 (バライト/Baryte/Barite) - BaSO₄ / Orthorhombic - ＞
　無色〜白色、黄色、褐色、淡青色、淡緑色等の豊富な色調を伴い、斜方板状や柱状、塊状、繊維状等で中低温の熱水鉱脈や石灰岩中等に産出します。地下水の蒸発により砂中に生成される花弁状の重晶石は、石膏(Gypsum)によるものと同様、砂漠の薔薇(Desert Rose/Sand Rose)の名で親しまれています。また類質同像の硫酸鉛鉱(Anglesite)や天青石(Celestine)とは固溶体の関係にあり、ラジウムにより放射性をもった含鉛重晶石（北投石）もかつて注目を集めました。

＜方解石(カルサイト/Calcite) - CaCO₃ / Trigonal - ＞
　最も広く産出する炭酸塩鉱物で、結晶の形は菱面体、犬牙状、六角柱状、釘頭状、板状、葉片状などと多様です。色も無色や灰白色に始まり鉄分を含んだ黄色やマンガンの入った蛍光性を持つピンク、青、緑、黒等と実に多彩です。有名な複屈折や、菱面体に割れる三方向に完全な劈開、塩酸で発泡して溶けることなどで容易に識別できます。

▲▼　瓦礫の山を繋ぎ合わせるように、フローライトとカルサイト、バライトの三者が標本全体を覆っています。

▲▼　真上側と底面側ですが、いずれも無秩序に瓦礫を継ぎ合わせたような構造をしています。底面側の掌を拡げたような形状が印象的です。

▲▼　瑞々しく可愛らしい立方体が煌めく、クリアな淡いイエローのフローライトです。バライトの微細な結晶も、カルサイトと渾然一体化している上、微小なので肉眼ではわかりにくいですが、フローライトの周囲を中心に密生しています。

▲▼　青灰色のバライトの断片が、廃墟の残骸のように突き出ています。標本の所々に、赤や黄色、緑色の混ざったようなフローライトと思われる脈や、バライトの抜け痕らしき空洞が見られます。

▲▼　底面側も、這いまわっているかのようなカルサイトが、躍動的で目を惹きます。涼し気なブルーの蛍光も美しいです。野性的で見所の多い、とても充実した標本です。