Muscovite Pseudomorph after Schorl
Locality: Emmons Quarry, Uncle Tom Mountain, Greenwood,
Oxford Co., Maine, USA
Size: 46mm x 30mm x 24mm
Weight: 35g

メイン産モスコバイト <ショール仮晶> (Muscovite Pseudomorph after Schorl / Maine)-photo0

商品説明
 ショールらしい外形を保ったまま、外郭からモスコバイト化されていった中途段階にある、メイン産の面白い標本です。表情の読み取れない闇のようなショールの黒がとても印象的です。

<Emmons Pegmatite>
 メイン州の南西に位置するOxford ペグマタイト地帯は、世界でも有数のベリリウム鉱物の産出地で、現在も宝石用や新種を含む様々な鉱物が採掘されています。Uncle Tom Mountainでその一角を担うEmmons ペグマタイトは、中核部に鉄コルンブ石(Columbite-(Fe))やマンガンコルンブ石(Columbite-(Mn))、マンガンタンタル石(Tantalite-(Fe))、ウッジーナ石(Wodginite)等のニオブ・タンタル酸塩鉱物を擁する、パーアルミナスでLCT型の巨大なペグマタイトです。二次鉱物も豊富で、鉄電気石(Schorl)と柘榴石(Garnet)の置換を含む白雲母(Muscovite)や、初生緑柱石(Beryl)を溶解し晶出したベリロナイト(Beryllonite)やベルトラン石(Bertrandite)、水酸ヘルデル石(Hydroxylherderite)等が、美しいライラック色や青〜緑色の弗素燐灰石(Fluorapatite)に伴われて産出します。加えて1mにも及ぶポルクス石(Pollucite)や、30cmを超える緑柱石(セシアンベリルも含む)、15cm大の燐酸塩ノジュール等が見付かっている他、ゴヤス石(Goyazite)を含むポケットも散発的に出現しています。今後の研究や産出も期待される注目産地です。

各鉱物の特徴
<白雲母(モスコバイト・マスコバイト/Muscovite) - KAl2(Si3Al)O10(OH)2 / Monoclinic - >
 雲母(Mica)グループに属する白雲母は花崗岩およびそのペグマタイト、また微粒のものは片麻岩や結晶片岩に含まれ、無色、緑や赤味がかった灰色、褐色から白色で六角板状や葉片状、鱗片状の集合体で産出します。アルミニウムを多く含み、一方向の顕著な劈開 が特徴です。

<鉄電気石 (ショール/Schorl) - NaFe2+3Al6(Si6O18)(BO3)3(OH)3OH / Trigonal - >
 最も産出の多い電気石で、花崗岩およびそのペグマタイトや変成岩等に、明瞭な条線を伴った黒色の柱状や針状、繊維状の集合体などで産出します。柱状の両端の形状が異なる異極晶で、加熱や加圧により電気が発生することでも知られます。成分中のナトリウムが欠乏してアルミニウムが入るとフォイト電気石(Foitite)となり、鉄がマグネシウムと置き換わると苦土電気石(Dravite)になります。

<仮晶 (スードモーフ/Pseudomorph)>
 仮晶(Pseudomorphoses)という用語は、1801年に結晶学の父と呼ばれるフランスの鉱物学者René Just Haüyによって最初に提唱されました。一般的に仮晶とは、元の鉱物の外形を保ったまま、結晶が化学的または構造的に変化し、他の鉱物へと一部や全体が置き換わったものを指します。具体的にどこまで仮晶に含めるのか、またその分類法については、学者間でも見解が分かれるため、未だに明確な定義が確立されていません。一鉱物標本店としては、過去の研究を参考に、大まかに下記の5種に分類します。
Paramorph (Allomorph)
 同質異像(Polymorphism)の性質を伴う多形(Polymorph)鉱物による多形仮晶(Paramorph/Allomorph)です。低温水晶(alpha quartz)と高温水晶(beta quartz)に代表されるエナンチオトロピーな相転移を示すEnantiotropic種と、石墨(Graphite)とダイアモンド(Diamond)や水晶(Quartz)とコーサイト(Coesite)、鱗珪石(Tridymite)等に代表される非可逆的なモノトロピー(単変)のMonotropic種に大別できます。多形が2種の結晶形を取るならばDimorph、(TiO2)の多形である金紅石(Rutile)、鋭錐石(Anatase), 板チタン石(Brookite)や、(Al2SiO5)の藍晶石(Kyanite)、珪線石(Sillimanite), 紅柱石(Andalusite)等、3つならばTrimorphと呼ばれます。
Metamict
 メタミクト鉱物は、内包または近接するウランやトリウムによるアルファ粒子という放射線によって、結晶構造が損傷を受け非晶質化させられたものです。メタミクト化されると屈折率や比重、硬度といった様々な特性が低下します。ジルコン(Zircon)や、サマルスキー石(Samarskite)、フェルグソン石(Fergusonite)、ユークセン石(Euxenite)等がこれに該当します。
Exsolution (Entmischung-Pseudomorphosen)
 離溶や固溶体分離とも呼ばれる現象で、高温下で生成された固溶体鉱物が、ゆっくりと冷却されることで他の鉱物に分離したものです。チタン鉄鉱(Ilmenite)が金紅石(Rutile)と磁鉄鉱(Magnetite)や赤鉄鉱(Hematite)に分離した標本が有名です。
Alteration
 成分の獲得や喪失、交換といった化学反応により、鉱物が部分的または完全に置き換わったものです。分類法の見解が多岐にわたることもあり、SubstitutionやInfiltration、Replacement、Alteration等の呼称と定義が混同し煩雑化しているようです。成因によって、a. 成分の喪失(e.g., Copper after Cuprite or Azurite)、b. 成分の獲得(e.g., Malachite after Cuprite、Gypsum after Pyromorphite)、c. 部分的置換(e.g., Goethite after Pyrite, Galena after Pyromorphite)、d. 完全置換(e.g., Quartz after Calcit, Barite, or Fluorite)と大別されます。
Encrustation (Perimorph/ Epimorph)
 他の鉱物に覆われた鉱物が、後に消失したことによって生成された仮晶です。そのうちPerimorph(Epimorph)は空洞の殻が元の鉱物の輪郭の形で残ったもので、Encrustation PseudomorphやUmhüllungspseudomorphosenとも呼ばれます。また、このプロセスを鋳造に見立てて、残った鋳型の部分をMold、その中に侵入して生成された鋳物に該当する鉱物をCastと呼ぶこともあります。ポリへドロイド(Polyhedroid)は、長石(Feldspar)や方解石(Calcite)の仮晶と考えられてきましたが、実際はランダムな角度で交差する方解石の薄板の隙間を埋めたシリカであり、Castに分類されます。さすがに抵抗がありますが、スイスの鉱物学者は、鉱物の表面に残された、消失した他の鉱物の痕跡のことを、ドイツ語で傷を意味するNarbenという用語で呼ぶ慣習があり、これを当カテゴリーの仮晶に分類する説もあります。
 鉱物標本上に限らず、広義の仮晶は目立たない形であまねく存在していますが、一般に鉱物標本店では、AlterationとEncrustationを中心に仮晶鉱物として取り扱う傾向があるようです。

メイン産モスコバイト <ショール仮晶> (Muscovite Pseudomorph after Schorl / Maine)-photo1

▲▼ 外郭がぐるりと一周モスコバイト化していて、中心の僅かな部分のみショールが残されています。

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▲▼ ショールの徐々に崩落していくような姿に、哀愁を感じてしまいます。モスコバイト化されていく力強い漆黒の塊は何を想うのでしょうか。

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▲▼ 上画像は横置きで上部を、下画像は逆さまにして下部を撮影しています。痛々しくも凛としたショールの闇がとても心に残る標本です。

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メイン産モスコバイト <ショール仮晶> (Muscovite Pseudomorph after Schorl / Maine)

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2,600円(税込)

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