Pyrite Pseudomorph after Pyrrhotite, Arsenopyrite,
Quartz & Rhodochrosite
Locality: Trepča Stan Terg Mine, Trepča complex, Trepča valley,
Kosovska Mitrovica,
District of Kosovska Mitrovica, Kosovo
Size: 70mm x 47mm x 39mm
Weight: 73g
商品説明:
扇がクロスしたような非常に個性的な形状のコソボ産ピロータイト仮晶です。表面にはシャープなアーセノパイライトにクォーツ、淡くピンキッシュなロードクロサイトの花弁が散りばめられています。
※当標本は産地又は鉱物の特質上、成分中に砒素を含む毒性の高い物質の付着している場合がございます。念のため火気や水気等を含む高温多湿を必ず避け、自己の責任においてお子様の手の届かない冷暗所に厳重に密封の上、保管・管理くださるようよろしくお願い申し上げます。セージや水洗い等もお控えください。
<Trepca - Kosovo>
ローマ時代や中世から続くとも言われる長い歴史を持つこの産地では、硫化鉱物を中心に現在60をも超える種の鉱物が報告されています。鉄分の豊富な漆黒の閃亜鉛鉱(Sphalerite/Marmatite)や、様々な晶癖を成す方鉛鉱(Galena)と硫砒鉄鉱(Arsenopyrite)、また黄鉄鉱(Pyrite)のみならず時には方鉛鉱の仮晶をも見せる磁硫鉄鉱(Pyrrhotite)、方解石(Calcite)を黒く着色するタワシの様なブーランジェ鉱(Boulangerite)、クリームピンクの大きな菱面体の苦灰石(Dolomite)、そしてそれらを花飾りの様に美しいピンク色で彩る菱マンガン鉱(Rhodochrosite)の個性的な共生標本には、形容し難い独特の不思議な違和感とエキゾチックな風合いがあり、様々な組み合わせで驚かせてくれます。また球状や花弁状に集合した白〜クリーム色の菱鉄鉱(Siderite)は菱マンガン鉱との中間種と考えられ、現地では”White Rhodochrosite”としても認識されています。さらに藍鉄鉱(Vivianite)やチルドレン石(Childrenite)、ラドラム鉄鉱(Ludlamite)等の美しい燐酸塩鉱物が産するのも大きな特徴の一つです。蛍石(Fluorite)の報告こそ未だ無いものの、Dal’negorskのNikolaevskiy MineやMexicoのSanta Eulalia、中国のYaogangxian Mine等の標本がお好きな方には是非ともお薦めしたい産地です。
各鉱物の特徴:
<磁硫鉄鉱 (ピロータイト/Pyrrhotite) - Fe7S8 / Monoclinic - >
鉄と硫黄の割合によって磁性の強弱が変化する鉱物で、通常塊状や粒状で産出し、六角板状や柱状の自形結晶も見られます。ブロンズ色の金属光沢で、空気中では酸化により褐色に変化し易いのも特徴です。塩基性マグマの分化鉱床、接触交代鉱床、熱水鉱脈などに、黄銅鉱(Chalcopyrite)や黄鉄鉱(Pyrite)、キューバ鉱(Cubanite)等の他の硫化鉱物と共に広く産出します。重要なニッケル鉱資源となるペントランド鉱(Pentlandite)と混ざり合って産出することも多く、含ニッケル磁硫鉄鉱の通称で呼ばれることもあります。
<黄鉄鉱 (パイライト/Pyrite) - FeS2 / Isometric - >
稜に平行な条線が発達した六面体や八面体、五角十二面体、またその組み合わせによる淡い真鍮色の結晶が典型で、熱水性鉱脈鉱床、接触交代鉱床、黒鉱鉱床等に広く産出します。黄銅鉱(Chalcopyrite)とは黄色味が薄いことや、条痕が黒いことで識別できますが、同質異像の白鉄鉱(Marcasite)とは、明確な結晶形が出ていない限り識別が困難です。自然金とも色調が似ているため愚者の金(Fool's Gold)という俗称もあります。球顆状の集合体や薄く放射状に集合したもの(Pyrite Sun)、黄鉄鉱化アンモナイト、また国内では「武石」や「枡石」とも呼ばれる褐鉄鉱化した仮晶まで、色々なパターンで出会える面白い鉱物です。
<硫砒鉄鉱 (アーセノパイライト/Arsenopyrite) - FeAsS / Monoclinic - >
銀白色〜鋼灰色の金属光沢で、菱形の板状や柱状の自形結晶として、また塊状、粒状でも産出する砒素と鉄の硫化鉱物です。酸化により表面に虹が出たり真鍮色に変化したりしますが、産地によっては銀白色を保つものもあるそうです。接触交代鉱床や熱水鉱床、気成鉱脈などに広く産出します。硫砒鉄鉱そのものは有毒ではありませんが、念のため手に触れた場合にはすぐに洗浄するようにしてください。
<水晶(クォーツ/Quartz) - SiO2 / Trigonal - >
肉眼で結晶の形状が確認できる石英のことを水晶といいます。実際には様々な種類や形状がありますが、透明度が高く六角柱状で三角形の錐面を持つのが一般的です。
<菱マンガン鉱 (ロードクロサイト/Rhodochrosite) - MnCO3 / Trigonal - >
濃紅色〜淡いピンク色の菱形六面体、犬牙状、釘頭状、葉片状、粒状、塊状、鍾乳状等で熱水鉱脈や接触変成鉱床中、ペグマタイト等に産出します。方解石中のカルシウムがマンガンに置換された鉱物で、良く似たバラ輝石(Rhodonite)とは硬度が低いことで識別できます。有名産地の標本は特に高価で、アメリカのSweet Home Mineや、南アフリカのN'Chwaning Mine、本鉱にインカローズという愛称の付いたアルゼンチンのCapillitas Mine、また国内でも尾太鉱山や、稲倉石、積丹ルビー等の愛称で親しまれる稲倉石鉱山に産する標本が代表的です。
▲▼ 画像では一見捉えにくいですが、2枚の扇が直交したような、とても個性的な形状です。薄い表面に様々な結晶が散りばめられた姿が印象的です。
▲▼ 端正なアーセノパイライトやミルク色のクォーツポイント、カルサイトの断片等が散在しています。
▲▼ 薔薇のようなシルエットで淡いピンクのロードクロサイトが咲いています。
▲▼ この辺りのピロータイトの結晶形の名残は非常に見応えがあります。独特の形状や質感が存分に堪能できて、鉱物鑑賞の楽しさも溢れる良標本です。