アゼルバイジャン産クローアパタイト、クォーツ、カルサイト&マグネタイト (Chlorapatite, Quartz, Calcite & Magnetite / Azerbaijan)
Chlorapatite, Quartz, Calcite & Magnetite
Locality: Dashkesan Co-Fe deposit, Dashkesan, Daşkəsən District, Azerbaijan
Size: 68mm x 68mm x 55mm
Weight: 188g
商品説明:
マグネタイトの母岩上に、クォーツ、カルサイト、そしてクローアパタイトがシャモス石に覆われて成長した、アゼルバイジャン産のオールスター標本です。今やすっかり目にする機会の無くなった名産地の、エキゾチックで贅沢な逸品です。
各鉱物の特徴:
<塩素燐灰石 (クローアパタイト/Chlorapatite) - Ca5(PO4)3Cl / Hexagonal - >
主な燐灰石(アパタイト/Apatite)は成分中のフッ素が水酸基および塩素と置換し合い、フッ素燐灰石(Fluorapatite / Ca5(PO4)、水酸燐灰石(Hydroxylapatite / Ca5(PO4)3OH)、塩素燐灰石に分類されます。このうちフッ素燐灰石が最も普通に産出しますが、肉眼による識別が困難な上、結晶の外側と内部とで各成分の量が変化する場合も多いため、野外名として燐灰石と一括りに呼ばれています。グループ名としても、緑鉛鉱系列を含む燐灰石グループ(Apatite Group)として、またそれを含む5つのサブグループを広範囲に及んで束ねる、上位の燐灰石スーパーグループ(Apatite Supergroup)として使用されています。錐面を持つ六角柱状、六角厚板状の自形結晶を示す他、粒状、塊状、鍾乳状、葡萄状などの集合体で、無色、白色、黄色、青色、緑色、褐色、赤色等、様々な系統の発色と濃淡を示し、紫外線蛍光や燐光を持つものも多いです。火成岩の副成分鉱物として、またペグマタイト、熱水鉱脈、堆積岩、広域変成岩、スカルン等に産出します。
<水晶(クォーツ/Quartz) - SiO2 / Trigonal - >
肉眼で結晶の形状が確認できる石英のことを水晶といいます。実際には様々な種類や形状がありますが、透明度が高く六角柱状で三角形の錐面を持つのが一般的です。
<方解石(カルサイト/Calcite) - CaCO3 / Trigonal - >
最も広く産出する炭酸塩鉱物で、結晶の形は菱面体、犬牙状、六角柱状、釘頭状、板状、葉片状などと多様です。色も無色や灰白色に始まり鉄分を含んだ黄色やマンガンの入った蛍光性を持つピンク、青、緑、黒等と実に多彩です。有名な複屈折や、菱面体に割れる三方向に完全な劈開、塩酸で発泡して溶けることなどで容易に識別できます。
<磁鉄鉱 (マグネタイト/Magnetite) - Fe2+Fe3+2O4 / Isometric - >
結晶及び条痕が黒色で、強い磁性を持つスピネル構造の鉱物です。分布は非常に広く、火成岩及び変成岩の造岩鉱物として、また接触交代鉱床や高温の鉱脈鉱床などに、塊状や八面体、ごく稀に立方体や十二面体でも産出します。風化に対する抵抗力が強く、分離した結晶が砂鉄としても集積します。
▲▼ ずっしりとしたマグネタイトの母岩に、当産地お馴染みの束状のクォーツと、名産クローアパタイトが乗っていて、更にカルサイトやシャモサイトが全体を彩っています。この雑然としたワイルドさも当産地の魅力です。
▲▼ 通常光下ではほぼ気付きませんが、各所のクォーツが所々仄かなピンク色を示しています。内側からぼんやりと暗い紫を浮かべるアメジストが当産地から産出するのですが、こちらも色彩は薄く明るいものの僅かにアメジスト化しているものと考えられます。
▲▼ 鉄分多めのシャモサイトがクォーツの内部にも侵入しています。球状の粒々の塊が随所に盛られているのも迫力があって格好良いです。カルサイトの柔らかな輪郭も、シャープなクォーツとのコントラストが絶妙です。
▲▼ バラエティに富んだ様々な結晶がそこら中から節操無く飛び出ているので、一周するのに相当時間を要するほど非常に見応えがあります。
▲▼ なかなか珍しいクローアパタイトの結晶です。奥にも小さいのが一つ埋まっていて、短波紫外線で薄黄色に蛍光します。当産地の魅力を余すところなく表現しきっている非常に贅沢な標本だと思います。今ではすっかり流通も無くなっているので、個人的にもこれが最後かもしれないと思っています。大切にして頂ける方にお届けしたい逸品です。