水晶&武石 (Quartz & Goethite Pseudomorph after Pyrite )
Locality: 三重県北牟婁郡紀北町海山区船津
(Funatsu, Miyama Ward, Kihoku Town, Kitamuro District, Mie Prefecture, Japan)
Size: 35mm x 26mm x 23mm
Weight: 26g

三重県船津産水晶&武石 <黄鉄鉱仮晶> (Quartz & Goethite Pseudomorph after Pyrite / Japan)-photo0

商品説明
 針鉄鉱化した黄鉄鉱、いわゆる武石に小さな松茸水晶が付いた三重県船津産の名標本です。緻密な結晶の輪郭が、無数に重なり合って迫り来るような素晴らしい迫力と、国産らしい繊細な情感を伴った逸品です。

各鉱物の特徴
<針鉄鉱 (ゲーサイト/Goethite) - FeO(OH) / Orthorhombic - >
 黄鉄鉱(Pyrite)、菱鉄鉱(Siderite)、磁鉄鉱(Magnetite)等の鉄鉱物の酸化によって生成され、黒褐色から赤褐色、黄褐色の塊状や土状の他、稀に柱状、針状またはその放射状、腎臓状集合体でも産出します。最も普遍的な水酸化鉄が針鉄鉱で、鱗鉄鉱(Lepidocrocite)やその他の水酸化鉄とはX線解析等によらないと識別が困難なため、区別できない場合の野外名として褐鉄鉱(Limonite)が使用されます。赤鉄鉱も腎臓状になることがあり良く似ていますが、赤鉄鉱は条痕色が赤いのに対し、針鉄鉱は黄褐色で黄色味があることで識別できます。

<黄鉄鉱 (パイライト/Pyrite) - FeS2 / Isometric - >
 稜に平行な条線が発達した六面体や八面体、五角十二面体、またその組み合わせによる淡い真鍮色の結晶が典型で、熱水性鉱脈鉱床、接触交代鉱床、黒鉱鉱床等に広く産出します。黄銅鉱(Chalcopyrite)とは黄色味が薄いことや、条痕が黒いことで識別できますが、同質異像の白鉄鉱(Marcasite)とは、明確な結晶形が出ていない限り識別が困難です。自然金とも色調が似ているため愚者の金(Fool's Gold)という俗称もあります。球顆状の集合体や薄く放射状に集合したもの(Pyrite Sun)、黄鉄鉱化アンモナイト、また国内では「武石」や「枡石」とも呼ばれる褐鉄鉱化した仮晶まで、色々なパターンで出会える面白い鉱物です。

<松茸水晶(セプタークォーツ/Scepter Quartz) - SiO2 / Trigonal - >
 いったん成長した水晶の頭部に、それを下地とする新しい水晶が二段階に成長すると、松茸や王笏のような形状になることから、このように呼ばれます。また逆に、二段階目の成長部分にあたる先端が下地より小さくなっているものはリバース・セプター(Reverse Scepter)と呼ばれています。

<仮晶 (スードモーフ/Pseudomorph)>
 仮晶(Pseudomorphoses)という用語は、1801年に結晶学の父と呼ばれるフランスの鉱物学者René Just Haüyによって最初に提唱されました。一般的に仮晶とは、元の鉱物の外形を保ったまま、結晶が化学的または構造的に変化し、他の鉱物へと一部や全体が置き換わったものを指します。具体的にどこまで仮晶に含めるのか、またその分類法については、学者間でも見解が分かれるため、未だに明確な定義が確立されていません。一鉱物標本店としては、過去の研究を参考に、大まかに下記の5種に分類します。
Paramorph (Allomorph)
 同質異像(Polymorphism)の性質を伴う多形(Polymorph)鉱物による多形仮晶(Paramorph/Allomorph)です。低温水晶(alpha quartz)と高温水晶(beta quartz)に代表されるエナンチオトロピーな相転移を示すEnantiotropic種と、石墨(Graphite)とダイアモンド(Diamond)や水晶(Quartz)とコーサイト(Coesite)、鱗珪石(Tridymite)等に代表される非可逆的なモノトロピー(単変)のMonotropic種に大別できます。多形が2種の結晶形を取るならばDimorph、(TiO2)の多形である金紅石(Rutile)、鋭錐石(Anatase), 板チタン石(Brookite)や、(Al2SiO5)の藍晶石(Kyanite)、珪線石(Sillimanite), 紅柱石(Andalusite)等、3つならばTrimorphと呼ばれます。
Metamict
 メタミクト鉱物は、内包または近接するウランやトリウムによるアルファ粒子という放射線によって、結晶構造が損傷を受け非晶質化させられたものです。メタミクト化されると屈折率や比重、硬度といった様々な特性が低下します。ジルコン(Zircon)や、サマルスキー石(Samarskite)、フェルグソン石(Fergusonite)、ユークセン石(Euxenite)等がこれに該当します。
Exsolution (Entmischung-Pseudomorphosen)
 離溶や固溶体分離とも呼ばれる現象で、高温下で生成された固溶体鉱物が、ゆっくりと冷却されることで他の鉱物に分離したものです。チタン鉄鉱(Ilmenite)が金紅石(Rutile)と磁鉄鉱(Magnetite)や赤鉄鉱(Hematite)に分離した標本が有名です。
Alteration
 成分の獲得や喪失、交換といった化学反応により、鉱物が部分的または完全に置き換わったものです。分類法の見解が多岐にわたることもあり、SubstitutionやInfiltration、Replacement、Alteration等の呼称と定義が混同し煩雑化しているようです。成因によって、a. 成分の喪失(e.g., Copper after Cuprite or Azurite)、b. 成分の獲得(e.g., Malachite after Cuprite、Gypsum after Pyromorphite)、c. 部分的置換(e.g., Goethite after Pyrite, Galena after Pyromorphite)、d. 完全置換(e.g., Quartz after Calcit, Barite, or Fluorite)と大別されます。
Encrustation (Perimorph/ Epimorph)
 他の鉱物に覆われた鉱物が、後に消失したことによって生成された仮晶です。そのうちPerimorph(Epimorph)は空洞の殻が元の鉱物の輪郭の形で残ったもので、Encrustation PseudomorphやUmhüllungspseudomorphosenとも呼ばれます。また、このプロセスを鋳造に見立てて、残った鋳型の部分をMold、その中に侵入して生成された鋳物に該当する鉱物をCastと呼ぶこともあります。ポリへドロイド(Polyhedroid)は、長石(Feldspar)や方解石(Calcite)の仮晶と考えられてきましたが、実際はランダムな角度で交差する方解石の薄板の隙間を埋めたシリカであり、Castに分類されます。さすがに抵抗がありますが、スイスの鉱物学者は、鉱物の表面に残された、消失した他の鉱物の痕跡のことを、ドイツ語で傷を意味するNarbenという用語で呼ぶ慣習があり、これを当カテゴリーの仮晶に分類する説もあります。
 鉱物標本上に限らず、広義の仮晶は目立たない形であまねく存在していますが、一般に鉱物標本店では、AlterationとEncrustationを中心に仮晶鉱物として取り扱う傾向があるようです。

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▲▼ 無数の黄鉄鉱の直線的な結晶ラインの僅かな撓みが、まるでトリックアートかの様に三次元空間に大きなうねりを形成して膨らんでいます。

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▲ 小さな松茸の頭と、僅かに茎の柱面部分が武石から突き出ています。

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▲▼ 凄まじさすら感じる緻密な結晶の重なり合いが、荒々しい迫力と共にうねりと躍動感をもたらして圧倒的な景観を描いています。その反面、同時に結晶ラインの柔らかさが不思議と何処か優しさと哀愁を感じさせる趣深い標本です。少し角度を変えるだけで様変わりする、バラエティに富んだ景観も大きな魅力です。

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2,600円(税込)

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