商品説明：
　クォーツやフェルドスパー、エジリンにアルベゾナイト等が瓦礫の山の様に積み上がり、頂上に一級の美しさのスモーキークォーツが聳え立つ、マラウィ産の標本です。瓦礫の中からちょこちょこ顔を出すジルコンも愛らしいです。

各鉱物の特徴：
＜煙水晶(スモーキークォーツ/Smoky Quartz) - SiO₂ / Trigonal - ＞
　水晶中のアルミニウム・イオンが放射線に反応することにより、このように茶色又は黒っぽい色になります。この原理を利用した人工着色のものもありますが、いずれも安全性の面で問題はありません。こちらは天然の煙水晶です。光を透過させない程に黒い煙水晶はモリオン(黒水晶/Morion)とも呼ばれています。

＜錐輝石(エジリン/Aegirine) - NaFe³⁺Si₂O₆ / Monoclinic - ＞
　ナトリウムと鉄を主成分とする輝石で、アルカリ火成岩中やそのペグマタイト中に多く産出します。ガラス光沢で暗緑色から黒が多く、マンガンを副成分として含有する亜種は赤褐色になります。柱状や針状の集合体を作るのが一般的です。

＜ジルコン/Zircon) - ZrSiO₄ / Tetragonal - ＞
　花崗岩や閃長岩及びそれらのペグマタイト中などに、四角錐状や短柱状、繊維状集合体、粒状等で産出します。純粋なジルコンの結晶は無色透明ですが、通常は組成中のジルコニウムが他の希土類元素に一部置換されているため、褐色系を中心に赤褐色や橙色、淡黄色から青色や緑色のものまで、発色は多岐にわたります。また紫外線下では黄色に蛍光し、弱い放射能を帯びるものもあります。ジルコニウムがハフニウムと置換されたハフノン(Hafnon)や、トリウムのトール石(Thorite)、ウラニウムのコフィン石(Coffinite)、イットリウムのゼノタイム(Xenotime)はジルコンと同形の鉱物であり、日本国内でも苗木石(Naegiite)や山口石(Yamaguchilite)等の変種ジルコンが知られています。風化に強く比重が大きいため砂中に濃集したジルコンサンドが特殊耐火物に使用されたり、ウラン‐トリウム法による岩石の年代測定にも利用されています。また古代ギリシャではヒヤシンスと呼ばれたため、風信子石という和名も残されています。

＜アルベゾン閃石 (アルベゾナイト/Arfvedsonite) - NaNa₂(Fe²⁺₄Fe³⁺)Si₈O₂₂(OH)₂ / Monoclinic -＞
　ほぼ不透明なガラス光沢の青黒色〜黒色の長柱状で、アルカリに富む花崗岩や閃長岩、片岩など一部の広域変成岩にも産出します。条痕は暗青灰色で、劈開は完全です。ソーダ角閃石サブグループに属し、鉱物名はスウェーデンの鉱物学者、Johan August Arfwedsonに由来します。熱水変成作用により、近しい関係にあるリーベック閃石(Riebeckite)や錐輝石(Aegirine)に変質することが多く、その初期段階を示す標本も少なくありません。

▲▼　断片的な結晶を集めてぎゅっと圧縮して固めたような、一見ぐちゃぐちゃに積み上がったように見える標本ですが、二本の美しいスモーキーポイントが標本全体を引き締めてスタイリッシュに仕上げてくれています。

▲▼　標本の他の部分との釣り合いが取れない程に美しいスモーキークォーツです。照り艶に透明感、上品な色彩と、この上ないクオリティです。

▲▼　表面や末端はエジリン化している部分も多いですが、標本の土台部分の中心を占めるのはこのアルベゾン閃石です。下画像、エッチングで抉り取られたかのような姿が印象的な部分です。

▲▼　横向きのスモーキークォーツのポイントも濁りの無い美しさです。

▲▼　長石の周りにジルコンがニョキニョキと顔を突き出しています。厳つい表情で黒光りするエジリンの逞しい結晶も格好良いです。

▲▼　上画像、クォーツの内部中央に黒い柱状のアルベゾナイトが浮かび、その左右にジルコンが結晶形を保ったまま浮かんでいます。下画像、風化しつつあるエジリン-アルベゾナイトの表面にジルコンが固まって顔を出しています。

▲▼　やけに黄色いジルコンの結晶に少しゾクッとします。アルベゾン閃石の、条線の様なおびただしい数の結晶ラインも美しく迫力があります。

▲▼　短波紫外線でジルコンが黄色く蛍光します。先ほどのエジリン-アルベゾナイトの表面付近に一際強く蛍光するジルコンがいます。クォーツ内のジルコンの蛍光も幻想的で美しいです。当産地の魅力の詰まった、上質で得難い標本です。